CATEGORY : 歯科口腔外科

歯根嚢胞(しこんのうほう)とは?抜歯と言われた歯を残せる可能性

【五條市の歯医者】今田歯科医院、副院長の今田光彦です。

歯科医院のレントゲンやCTで偶然見つかることも多い「歯根嚢胞(しこんのうほう)」。実は、慢性炎症が長期間続いた結果として生じる代表的な歯原性嚢胞であり、口腔外科領域では日常的に遭遇する疾患です。

※歯根嚢胞とは・・・歯根嚢胞は、虫歯や外傷で死んだ歯の根の先に膿が溜まる袋状の病変です。初期は無症状ですが、進行すると歯茎の腫れや痛み、噛み合わせの違和感が出ます。治療は根管治療(神経の再治療)が中心ですが、嚢胞が大きい場合は歯根端切除術や抜歯が必要になります。

口腔外科学会HPより引用(https://www.jsoms.or.jp/public/disease/setumei_noho/)

歯根嚢胞は、失活歯(神経を失った歯)や不十分な根管治療歯に関連して発生することが多く、初期には自覚症状がほとんどありません。そのため、気づいたときには病変が大きくなっているケースも少なくありません。

■歯根嚢胞の原因と病態

歯根嚢胞は、歯根尖部に存在するマラッセ上皮遺残が、慢性的な根尖性歯周炎の刺激を受けて増殖し、嚢胞化することで形成されます。

特徴として、

・長期間にわたる慢性炎症

・根尖部に明瞭な透過像(X線・CT)

・自覚症状に乏しいが、増大すると腫脹・違和感・疼痛を生じる

といった点が挙げられます。 特にCTでは、骨皮質の菲薄化や膨隆が確認できることもあり、病変の広がりを正確に把握することが治療方針決定に重要です。

■歯根嚢胞の治療方針

歯根嚢胞の治療は、病変の大きさ・症状・原因歯の状態によって異なります。

① 根管治療(再根管治療)

比較的小さな病変であれば、適切な再根管治療によって縮小・消失することもあります。

しかし、

・既に十分な根管治療が行われている

・ポストや被せ物の除去が困難

・病変が大きく、長期間存在している

といった場合、根管治療単独では改善が難しいことがあります。

② 嚢胞摘出術および歯根端切除術(外科的アプローチ)

そのようなケースで選択されるのが外科的に病変を摘出することです。

さらにこの病変は再発することがあるので、その再発率を下げるために歯根端切除術を行います。

歯根端切除術とは、

・歯根尖部を外科的に切除

・嚢胞や炎症性肉芽組織を完全に摘出

・必要に応じて逆根管充填を行う

という、原因そのものを直接除去する治療法です。

引用:自石少兼光,古郷幹彦編 口腔外科学 第4版,医歯業出版株式会社,東京,2020, 525頁.

この方法は、単なる「最後の手段」ではなく、適切なタイミングで行うことで歯の保存率を高める治療と考えています。

■当院で重視しているポイント

私が歯根端切除術を行う際に特に重視しているのは以下の点です。

  • CTによる三次元的診断
  • 上顎洞・下歯槽神経など重要構造との位置関係
  • 病変の完全摘出と再発防止
  • できる限り低侵襲な手術操作

これらは、口腔外科的知識と経験が結果に直結する部分だと考えています。特に当院の歯根単切除はマイクロスコープを併用することで、確実に逆根管充填を行うよう心がけています。

【症例紹介】歯根嚢胞に対して嚢胞摘出および歯根端切除を行い、インプラント治療を行った一例

症例概要

  • 年齢・性別:50代・男性
  • 主訴:左上臼歯部へのインプラント治療を希望

〇画像所見

初診時に撮影したCBCT画像です。インプラントを埋入したい部分の手前の歯(左上の犬歯)に歯根嚢胞を認めます。このままインプラントを埋入しようとしても病変のせいでインプラントが骨に結合してくれません(つまりインプラントを植えても失敗する可能性が高いです)。またこのまま放置していても犬歯の保存が困難となり、抜歯の原因となります。

治療計画

  • まずは歯根端切除術+嚢胞摘出術を施行
  • 治癒経過を待ったのちにインプラントを埋入

経過

計画通り嚢胞摘出術、歯根端切除を行いました。術後の疼痛・腫脹は軽度で患者様からは鎮痛薬の内服はほとんどなかったとのことです。

画像の通り、歯根嚢胞のあった個所は骨再生を認め、その後問題なくインプラント埋入が可能となりました。

歯を抜かずに保存できた症例で、かつインプラント治療も円滑に施行できたケースです。

■「抜歯しかない」と言われた歯でも

歯根嚢胞などが原因で抜歯しないといけないといわれた歯でも保存できるケースはたくさんあります。

適切な評価を行うことで、

  • 保存可能な歯かどうか
  • 外科的に対応すべきか
  • どの治療が最も予後が良いか

を総合的に判断することが可能です。

■まとめ

  • 歯根嚢胞は慢性炎症により生じる代表的な歯原性嚢胞
  • 再根管治療で改善しない場合、歯根端切除が有効
  • 外科的視点により歯の保存が可能なケースも多い

今後も症例を交えながら、専門的な内容をわかりやすく発信していきます。

■今田歯科医院での取り組み

今田歯科医院では、

  • CTを用いた精密診断
  • 口腔外科学会専門医による外科的評価
  • 可能な限り歯を残す治療方針

を大切にしています。

・「抜歯と言われたが本当にそうなのか知りたい」
・「顎の中に袋のような病気があると診断された」

そのような方は、ぜひ一度【五條市の歯医者】今田歯科医院へお気軽にご相談ください。

今田歯科医院の公式サイトはこちら

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